いかりや

いかりや長介が退院したとの連絡を受け自宅へとお見舞いに向かう。
そう、俺はドリフの新メンバーに選ばれたのだ。


京王線仙川駅を降り、いかりやの自宅へ。
手にはお見舞いの品。
背中に大きく『2』と書かれたハッピを用意した。
いかりやと言えば『2』、きっと喜んでくれるはずだ。


ちょっと歩くと向こうからニコニコした表情の仲本工事がやってきた。
軽く会釈してすれ違う。
プライベートで仲本と話すことはあまり無い。


さらに進むと加藤茶がやってきた。
こころなしか浮かない表情だ。
どうしたんですか?と声をかけると、
「いやぁまぁ…君も気をつけたほうがいいよ」とだけ。
んー、正直行きたくないなぁと思いつつも、そういうわけにはいかないので
仕方なくいかりや邸へ。


いかりや邸は大きな日本家屋だ。
ごめんくださいと中へ入ってゆく。
20畳ほどもある大きな寝室の真ん中にいかりやはいた。
布団の上で座っている。
傍らにはお見舞いの品が置かれていた。
背中に大きく『6』と書かれた浴衣が紙袋からはみ出していて、
その袋には『茶』と書かれていた。
おそらく加藤のお見舞いだろう。
加藤にとって、いかりやは『6』なのだ。
俺の意見とは異なるようだ。
その隣には『工事』と書かれた袋もある。


これどうぞ、、、とハッピを差し出す俺。
不機嫌そうに受け取るいかりや。
やべぇ怒られると思った瞬間、すでに説教は始まっていた。


「お前もつまらないものを持ってきやがって。
何だこのハッピは!?
いかりやと言えば『3』だろうが。
俺が欲しいのはこんなものじゃねぇ!
コレを見てみろ、台本だ。
コントの台本。
仲本が書いてきたんだ。
はっきり言って全然おもしろくない。
でもなァ、、うれしいじゃねぇか。
早く長さんとコントがやいたいって言ってくれてなァ。。。」
いかりやは泣いていた。
でも俺は泣けなかった。
仲本のコント、やっぱりおもしろくないんだ。
おもしろい訳ないよな、だって仲本だぜ。
そっちばっかりが気になっていて、説教なんてどうでもよかった。


見舞いも済んだので帰宅しようと駅へ向かう。
途中で、これから見舞いに行く志村けんと会う。
手には、背中に大きく『4』と書かれたちゃんちゃんこ
あーきっと怒られるんだろうなぁと思いながら志村の背中を見送る。


そういやブーはどうしているのだろう?
そんなことを思いながら駅へと入っていった。

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ってところで目が覚めました。